限界だよ、パトラッシュ・・・

もうHPの更新だけで限界ッス・・・。もう、今日は寝かせてください・・・。


  • 題名未定(第31回)

私は最初、この仕事を請ける気は無かった。
こんな極東の、しかも辺境の地に私の作品が建てられた所で何も良い事は無いからだ。
それにあの横柄な態度の男。紳士の様相はしているが、その中は粗野としか言い様が無い男だった。全く、未開人はこれだから困る。服装をどうにかした所で、中身が変わらなければ意味が無いと言うのに……。
――だが、何故こんなにも第1印象が悪かったのにも関わらず、私がこの仕事を受ける事になったかと言うと、それはその粗野な男の一言があまりにも魅力的だったからである。
異世界の扉を造って見ないか?」
この一言。普通ならば、聞いた瞬間こいつは頭が逝った異常者か? と思うだろう。だが、この時の私には神のお告げのように聞こえたのだ。今まではこの街に合うようにだの、お洒落にだの、高級にだのありふれた表現で仕事を依頼してくる輩ばかりだった。そんな時に「異世界の扉」だ。
私は子供の読み物と思われているファンタジーが好きだ。そこに書かれている世界は常識を超えた概念の下に描かれ、私の創造力を掻き立てる。
だからこそ、私はこの男の依頼を受けた。
異世界に渡るモノがどんなモノかは知らないが、それに至る仕組み、男が言うには鍵に当たるモノを、男は設計図に起こして寄越した。私はそれを見て、男に対する考えを改めた。ただの鍵の仕組みの設計図だったが、まるで本に出てくるような、あまりにもファンタジーに満ちた面白い仕組みだったからである。
私はそれに敬意を払い、最高傑作とも言えるファンタジーな建物を造ったつもりだ。ファンタジーな鍵を持つファンタジーな建物を。
しかしそこまでに至る経緯が困難に満ちたものだった事には辛さを感じている……。
男によると、あれも異世界に関する出来事だそうだ。全く、あんな事で異世界の存在を信じる羽目になるとは……。
まぁ今更そんな事を言っても仕方が無い。彼らの鎮魂の為にも、明日のテストは必ず成功させなければならない。
とは言いつつも、不謹慎だが、私は明日のテストがとっても楽しみだ。ファンタジーの扉が開く明日という日が――。